新しい税務、会計、法律等の動向

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消費税増税について

2012.8.16

消費税増税法案など社会保障と税の一体改革関連法案は、2012年6月26日午後の衆議院本会議で可決されました。 参議院の審議を経たのちに、消費税率は2014年4月に8パーセント、2015年10月に10パーセントと段階的に引き上げることになります。 そこで、さっそく次のような動きがあります。

a) ネット配信の消費税に関して、財務省は国内事業者の配信に消費税が課税されているのと同様に 海外の事業者の配信にも消費税を課税する方向で2014年4月の8%への引き上げと同時に消費税課税を検討しています。 というのは、そもそも消費税法では、

消費税法第4条第1項 国内において事業者が行った資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。

第2項 保税地域から引き取られる外国貨物には、この法律により、消費税を課する。(輸入)

第3項 資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が 国内にあるかどうかにより行うものとする。

①資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所 (当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権、著作権、国債証券、株券その他の政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)

②役務の提供である場合 当該役務の提供が行われた場所(当該役務の提供が運輸、通信その他国内及び国内以外の地域にわたって 行われるものである場合その他の政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)

とあり、ネット配信の場合、第3項②の下線部分のように、海外からの配信には課税されないからです。 これでは海外にサーバー等を設置して海外より配信する業者や海外事業者と日本より配信する事業者との間で不公平になるためです。 EU等の付加価値税は、海外の事業者からEU国内への配信についても課税されており、その処理方法を参考にして決定していくものと予想されます.

b)住宅等の大型物件の駆け込み需要
2014年4月の消費税率アップに合わせて住宅の建設、購入を駈込みで行おうとする人がじわりじわりと増えてきているようですが、 住宅の場合その販売にも時間を要するため、消費税を3%から5%にアップしたときと同様、請負契約を施行6ヵ月前に締結した住宅について、 即ち2013年9月までに締結した住宅について適用されることが予想されますので、あまり時間がなく、 不動産会社等への問い合わせが増えてきているとのことです。確かに、例えば税抜き10百万円で50万円だったのが80万円になり、 100万円になるわけですから大きな金額になります。 前回の3%→5%のときもそうでしたが、駈込み需要後の反動が大きいと予想されます。

c)消費税の処理ソフトの税率アップへの対応準備
企業、事業者は課税仕入れをした場合にPCへ入力する時点で消費税処理がなされ5%部分が把握され、会計処理が適切になされるようになっています。 そのソフトの税率変更が必要となります。各企業、事業者は前述の3%→5%の経験がありますから、 ソフトもこれに合わせて対応されているものもありますが、ソフトの大幅な手直しが必要とされるかどうかについて今から準備していく必要があります。 その際の留意点としては、
・消費税率アップ後の過渡期においては、5%と8%が混在する状態、さらにはその後、5%、8%、10%の3つの税率が混在する状態が想定されることを 念頭において対策しておく必要があります。 なお、消費税率は10%になると、当分そのアップはないのでなく、さらに将来アップすることも前提に対策しておく必要があると思われます。

消費税95%ルールの見直しについて

2012.8.16

従来においては、課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額の仕入税額控除が適用されていましたが、 平成24 年4月1日以後に開始する課税期間からこれが適用されなくなりました。
即ち、平成24年4月以降は、その課税期間の課税売上高が5億円以下の事業者に限り全額控除が適用され、5億円超の事業者については、 個別対応方式又は一括比例配分方式で課税売上に対応して控除する額を算出することになりますから、総じて控除課税仕入額が減少し、 消費税額が増加することになります。

消費税の事業者免税点制度における免税事業者の要件

2012.8.16

個人事業者又は法人で資本が10百万円未満のものについては、事業開始に際しては、基準となる課税売上高が存在しないため、 従来は、2年後まで消費税が課税されることはありませんでした。ところが、平成24年10月以降、事業者免税点制度の適用を受ける事業者のうち、 次に掲げる課税売上高が1千万円を超える事業者については、事業者免税点制度を適用しないこととなっています。

(a) 個人事業者のその年の前年1月1日から6月30 日までの間の課税売上高
(b) 法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く。)開始の日から6月間の
  課税売上高
(c) 法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年内に
  開始した前々事業年度があるときは、 当該前々事業年度の開始の日から6月間の
  課税売上高
 (当該前々事業年度が5月以下の場合には、当該前々事業年度の課税売上高)

相続税法の改正の動きとこれへの対応

2012.8.16

戦後生まれの団塊の世代の労働市場からの引退とその父母の死による相続の発生が増えてきています。 確かに日本人の平均寿命が80歳から85歳くらいなので、団塊の世代の父母が亡くなるピーク、つまり相続の発生がピークになる時期を 迎えようとしています。

a)相続税の課税ベース及び税率構造
政府はこれに対応して相続税の課税対象範囲を広げ、以前に比べて相続財産が少ない相続人からも相続税を徴収するための下記のような 改正案が2011年に大綱に盛られました。2011年中、2012年中は国会通過はないにしても、2013年以降の早い時期に国会通過の見込です。

現 行 改正案
定額控除 5,000 万円 3,000 万円
法定相続人比例控除 1,000 万円/人 600 万円/人
死亡保険金に係る非課税限度 500 万円に、法定相続人の数を乗じた金額 500 万円に、法定相続人(未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限る。)の数を乗じた金額
未成年者控除 20 歳までの1年につき6万円 20 歳までの1年につき10 万円

②相続税の税率構造

税率 現 行 税率 改正案
1,000 万円以下の金額 10% 1,000 万円以下の金額 10%
3,000 万円以下の金額 15% 3,000 万円以下の金額 15%
5,000 万円以下の金額 20% 5,000 万円以下の金額 20%
1億円以下の金額 30% 1億円以下の金額 30%
2億円以下の金額 40%
3億円以下の金額 40% 3億円以下の金額 45%
3億円超の金額 50%
6億円以下の金額 50%

2)相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造について見直し ①20 歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に係る贈与税の税率構造

税率 現 行 税率 改正案
200 万円以下の金額 10% 200 万円以下の金額 10%
300 万円以下の金額 15% 400 万円以下の金額 15%
400 万円以下の金額 20% 600 万円以下の金額 20%
600万円以下の金額 30%
1000万円以下の金額 40% 1000万円以下の金額 30%
1000万円超の金額 50%
1500万円以下の金額 40%
3000万円以下の金額 45%

②上記以外の贈与財産に係る贈与税の税率構造

税率 現 行 税率 改正案
200 万円以下の金額 10% 200 万円以下の金額 10%
300 万円以下の金額 15% 300 万円以下の金額 15%
400 万円以下の金額 20% 400 万円以下の金額 20%
600万円以下の金額 30% 600万円以下の金額 30%
1000万円以下の金額 40% 1000万円以下の金額 30%
1000万円超の金額 50%
1500万円以下の金額 45%
3000万円以下の金額 50%

b)第一次相続が終了し、第二次相続が発生するのに対応
戦後の復興を一生懸命働き財産をつくった方々が平均寿命になり、第一次相続⇒第二次相続が発生してきているのが、ここ何年かなのですが、 ここで第一次相続とは父母のいずれかがなくなることをいいます。今まで両親が健在であったものがどちらかが亡くなる片親と 子供たちの間の相続では初めての悲しみに連帯感が生まれることもあり比較的揉めることもなく、残った片親にとりあえず、財産を多く相続して、 争いごとが起こらないように「問題の先送り」をして済ませているケースが多かったのですが、残った片親が亡くなり、第二次相続、 兄弟姉妹間での相続になると互いに配偶者があって、その考え方が深く介入してくるケースが多く、言わば「兄弟は他人の始まり」となり、 遺産分割がスムーズに進まないケースが増えています。言わば第二次相続がピークを迎えるに当り、留意すべきことは、

・遺言書を必ず残すこと。
-----財産が少ないからとか、兄弟姉妹は仲がいいからとか、といって遺言を残していないケースが多かったのが今までですが、 「長男は家を守る」といった風習が薄れ、例え長男が親を見てきていても、兄弟間の公平感、平等意識が強まっている近頃では、 遺言を残すことは残った家族が引き続き家族として信頼し合い、助け合いながら生活を送るために必要です。決めないで骨肉の争いをさせるより、 責められるのは自分と覚悟して、敢えてはめておかねばなりません。
その際の遺言の留意点は、
①公正証書遺言にするか自筆遺言でも後からわかるよう明確にしておくこと、
②遺言した理由・意図を記載して本人たちに少しでも納得させるようにすること、
③遺留分は犯さないように考慮しておくこと、
④全ての財産について記載しておくこと、
⑤相続人の状況や遺産の変化に合わせての対応も考慮した「○○の場合は××とする」ものにすること、です。

・小規模宅地の評価の特例の適用の可否を検討しておくこと
小規模宅地の評価の特例の適用条件が厳しくなり、これを使えずに評価が高くなり第一次相続のときは特例が使え評価を 80%減額し納税が不要であったが、第二次相続においは納税がでてくるケースが多々あります。特に最近は、子供たちは都会に別に自宅住居を 構えて住んでいて、片親が一人で田舎生活をしている場合とか、子供が例え自宅をもっていなくても賃貸物件に3年前から住んでいない場合や 片親が有料老人ホームにて生活している場合は使えない(特別養護老人ホームは介護のため一時的に滞在するので病院と同じとみなされるケースが多い)

・相続税の試算をしておき、納税資金の確保をしておくこと
特に、税率や定額控除、各基礎控除の金額が大きく変わろうとしているのでその時その時の相続税試算をして、 納税資金の算段をしておく必要があります。




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